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ココッチィ

おもしろきこともなき世をおもしろく

お小遣いが欲しい女子中学生が稼げるバイトって何ですか?

バイト

八頭身美人で超人気者、優香の話は続きます。たまたまが重なって彼女と仲良くなった私は優香が学校を休んだことで、自宅へ行き、今まで知らなかった事実を知りました。

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前回の話はこちらです。

www.cheer-up.info

逆切れに嫌気がさして、私はあの日、さっさと退散しました。優香はその日、学校には来ませんでしたが、次の日から何事もなかったかのように登校していました。

 

 

いつものように部活が終わってからの帰り道、内緒にしてよ、と言いながら色々話をしてくれました。

 

 

両親が離婚する前は、あそこには住んでいなかったこと。離婚後、母親が宗教にハマって、朝早く仕事にでて、そのまま宗教に行くので帰ってくるのが毎日23時くらいだということ。 今、住んでいるところは、その宗教の仲間がタダで貸したくれたらしいこと。父親からの養育費や仕事で稼いだお金のほとんどを「お布施」にしているということ。

 

 

優香の当時の話では「お布施」を沢山する人は信仰心が強くて、偉い人という位置になるらしく、お布施を沢山することで、ご利益があると教えられるそうです。母親が入信したばかりの頃、優香も一緒に連れていかれていたようです。

 

 

中学に入って、入信している大勢の子供たちと、関東にある本殿と言われる場所に集まる集会のようなモノに参加したとき、その本殿といわれる建物が竜宮城のような金色の立派な建物で、母親は、この建物に寄付しているのだと感じ、自分の家とのギャップにどうしようもなく悲しくなったと話してくれました。

 

 

その時から、この宗教も母親のことも大嫌いになったのだそうです。

 

 

学校ではチヤホヤされていて、ちょっとワガママで気まぐれな優香は両親が離婚してから、朝早くから夜遅くまで、鍵もちゃんとかからない、家とは呼べそうもない小さな小屋で宗教にすべてを捧げる母親と暮らす環境になっていたのです。

 

 

優香のお母さんは決して怖い感じの人ではなく、いつもニコニコしていて愛嬌のあるでした。ただ、全く料理もしないし、子供を一人にしていることに、何も罪悪感を持っていないようでした。優香はインスタントラーメンをよく食べていました。制服やカバンは父親が買ってくれたらしく、私服はあまり持っていませんでした。

 

 

優香が彼氏を作らないのも、友達と絡まないのも、理由がわかった気がしました。

 

 

「それでね、新しいジャージが欲しいんだけど、買えないの」父親にお願いしようと思って、家の前まで行ったらしいのですが、生まれたばかりの赤ちゃんを抱っこした女性が庭にいたので、帰ってきたそうです。

 

 

女子中学生が稼ぐために始められることって何ですか?

 

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スマホやパソコンがある今では考えにくいのですが、当時の女子中学生の世界はとても小さくてテレビに出ている人はテレビの中の住んでいるような遠い存在だったし、家族と友達と、その街で完結していました。地球はこの街でできていて、平面でなんなら柵で囲ってある。

 

 

優香とふたり、とぼとぼと帰りながら顔を上げて向こう側を見ると「モーニングサン新聞」という看板が見えたんです。もう、これしかないよね!と女子中学生ふたりは、そこに入ってお店の人に相談しました。

 

 

女子中学生がいきなり入ってきて、バイトの話をするわけですから、お店の人も困惑気味でした。おうちの人と相談してから、またおいでね。そう言って優しく追い払われました。当然です。ごくごく当たり前です。完全に思いつきでしたから。

 

 

でも、優香の置かれた状況を考えると、やっぱりこれしかないと、ふたりの意見は一致し、一緒にやってくれるよね?という優香の言葉に黙ってうなづき、私は帰宅後すぐに、このことを母親に話をしました。私の母親は寛大な人で、あなたが友達を助けると思ってやることなら協力すると言ってくれました。

 

 

それからというもの、毎朝4時半に起きるハメになり、毎朝、母親が起こしてくれました。そして5時に優香のところに行き、ふたりで配達店にいくという。夏が終わり秋が深まる頃に始めたので、だんだん寒くなっていくのが本当に嫌でした。優香の母親は5時少し前に家をでるので最初のうちは優香がバイトを始めたことを知りませんでした。

 

 

みんなが学校に行く前に配り終わるので、友達もバイトのことを知りませんでした。

 

 

どうにか半年続けてきた、ある朝。その日はいつもより風が強い日でした。私のチャリの前カゴに日経系のものを入れ、優香が配達店に借りているチャリの荷台にモーニングサン新聞を黒い太いゴムで縛ります。外はまだ、星が出ています。そろそろ出発です。

 

 

最初は違う家に入れてしまったり、入れるべき家に入れなかったり、凶暴な犬がいてポストに近づけなかったり、新聞を待つ痩せたジイサンを幽霊と間近って大声をあげたり、「早朝から女の子の話し声がうるさい!」と言われたり。

 

 

配り始めて少し経って、さっきまで星がでていたのに、暗くなってきました。雨が降りそうです。新聞が濡れたら大変なので、急いで配っていました。ポツポツと雨が降ってきました。一旦、販売店に戻ろうよ、と優香に言ったその時

 

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ゲリラ豪雨とともに、強風が吹き荒れました。

 

 

前カゴの新聞は舞い上がり、ゴムが緩くなっていた荷台の新聞も次々に落ちて、中に入っていた広告が飛んでいき、あたりは、びしょ濡れの新聞と広告が散乱しました。もう、黙って走り回って集める以外にどうしようもありませんでした。

 

 

ずぶ濡れ女子中学生がガソリンスタンド近くで散乱した新聞紙と広告を拾っているという状況下で、どんどん時間は過ぎていき

 

 

「あれ?お前ら、何やってんの?」と、聞き覚えのある男子の声。

 

 

そう、登校の時間になってしまったのです。それでも、まだ散乱しています。このまま帰るわけにはいきません。いつの間にか登校中の友達までが収集に参加してくれていました。

 

 

配達店には「まだ、新聞がこない」という電話が鳴り響き、中学の担任には叱られ、このバイトは幕を閉じました。大人になって考えてみると、販売店のご夫婦がとてもイイ人だったのですね。私たちが何かやらかすたびに、お詫びに行ってくれていたようです。

 

そして優香と私は高校受験を迎えます。続きは、また!

 

 

お付き合いくださり、ありがとうございました。